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西村審議委員就任記者会見要旨(2005年4月8日)
2005年4月11日
日本銀行
―2005年4月8日(金)
午後5時から約35分
(審議委員)
本日付で政策委員会の審議委員を拝命した西村です。よろしくお願い致します。
【問】
今後5年間、重大な職責を務められることになるわけだが、抱負を伺いたい。また、日本銀行の最高意思決定機関である政策委員会のメンバーとして、日本銀行のあり方についてお考えがあれば、併せて聞かせて頂きたい。
【答】
まず抱負については、この2年のうちに、東京大学大学院教授から内閣府の総括政策研究官になり、それからさらに日本銀行の審議委員となり、2回転職するかたちとなった。恐らく今までこういうケースはあまりなかったと思うし、私自身多少戸惑っている。ただ、正直申し上げて、特にそれで何か変わるということではなくて、自然体で政策委員会の審議委員を務めさせて頂きたいと思っている。
ご案内のように、私のバックグラウンドは金融政策プロパーではない。そこで、ちょうど良い機会なので、私のバックグラウンドを少しお話して、私の視点を皆様にお伝えできればと思う。
最近まで、私はミクロ経済学と数理経済学的な分野での仕事を続けていた。具体的には、通常想定されるものとは違う本源的な不確実性があるときに、経済主体である企業や家計がどのような行動をするのか──こうしたことは非常に数理経済学的な問題なのだが──といったことを研究してきた。また、情報技術革新については、ご案内のように本も出しているが、日本経済の技術進歩に情報技術革新がどのような影響を及ぼしたのかということを分析してきた。さらに、具体的な市場については、例えば不動産市場の価格形成はどうなっているのかとか、自動車流通について情報技術革新はどういう影響をもたらしてきたのかというようなことを調べてきた。
そうした分析の中で、私が思い当たったことは、非常に当たり前のことではあるのだが、経済を動かしているのはやはり企業や家計であって、その企業や家計の経済環境を、科学技術や制度といった人々の選好に影響を及ぼすような様々な動きが規定している。政策はそうした経済環境に対して影響を与えることによって経済そのものをリードしていくのだ、というふうに考えるべきであろう。ことによると全て経済政策運営が完全に経済を決めてしまうことができるかのような錯覚に陥りがちなのだが、実はそうではないということを頭の中に入れて、これからいろいろな政策決定に関わっていきたいと思っている。
こうしたバックグラウンドを持った私のような人間が金融政策に関わるということには、もちろんマクロ経済学の視点も必要だが、こうしたミクロ経済学的な視点というものも日本の経済政策の中で考えていかなければならないのではないか、という世論というか、経済世論の動きというものがあったのではないかと思っている。
また、私は経済統計の専門でもある。統計審議会のメンバーとか、内閣府においては国民経済計算を作っている経済社会総合研究所の総括政策研究官を務めていたので、そこら辺の事情についても何がしかの知識というものがある。日本銀行の調査統計には、長い伝統があり、高い評価を受けているとともに、非常に先進的な動きもいくつかある。こうしたところで私のバックグラウンド、特に政府統計に関するバックグラウンドと、日本銀行の伝統との間で上手くシナジー効果を高めることができれば、日本の経済政策の基底となるデータの信頼性を高め、また新しいデータを取り入れていくといったところに、何がしかの貢献ができるのではないかと思っている。
ただ、金融政策は、金融のマイクロストラクチャーというか、金融市場の細かいディーテールというものが非常に重要になる。「悪魔は細部に宿る」という言い方があるが、その細部がわかっていないと難しい政策判断はなかなかできない。その意味で私は必ずしも専門家ではないので、これからは特に日本銀行のスタッフとの接触を通じて勉強し、私の独自の考え方を踏まえながら、金融政策に関わっていきたいと思っている。
それから日本銀行の役割については、日本銀行の金融政策を外から見ていて、金融政策の信用度を高めるということが非常に重要になってくるのではないかと思っている。過去に中央銀行が様々な問題を抱えたときの一番大きな問題は、信用を失うということだった。その意味で、信用を高める、特に政策の信用性を高めるということが、日本銀行の今後の政策の中で重要になってくるのではないかと思っている。新しい日本銀行法が透明度の高いものになったということが、そうしたことの重要性を表しているのではないかと思っている。
【問】
量的緩和政策を導入して丸4年が既に経過している。世界でも例を見ないこの政策についてのこれまでの評価と、今後の展望について見解を伺いたい。
【答】
私の著書をご覧になったと思う。そこで「モルヒネ経済」という言葉を使っているが——多分、「モルヒネ経済」についての質問が出るのではないかと予想はしていた——、量的緩和というのは、はっきり申し上げて「モルヒネ」であることは確かである。しかし、この4年間にわたって「モルヒネ」を打ちながら、日本経済がそれまでの非常に大きな困難を乗り越えてきたことは事実であるし、やはりこれは正当に評価しなければならないと思う。ただし、量的緩和が具体的にどのような影響を持ったかということを、定量的に調べることは非常に難しいということも事実である。先程も申し上げたように、経済は最終的には企業や家計の行動というものに規定されているということから考えるならば、量的緩和を通じた安心のネットワークというようなものが、そういった企業や家計に影響を及ぼしたと考えるのが自然ではないかと思う。これを具体的に数字で表すというのは非常に難しいが、そういったかたちの評価が可能ではないかと思う。
そのように考えると、量的緩和の出口も、自然に、どういった対処で考えたら良いかということが出てくると思う。「モルヒネ」というのは劇薬である。従って、劇薬は当然のことながら止めてしまったほうが良いわけだが、しかし、劇薬を急に止めるとそこに非常な痛みが生じてしまう。頭ではわかっていても、痛みというものは体(からだ)にきてしまう。経済というものは頭ではなく体であるから、本当に痛いんだ、ということを体に少しずつわからせながら、次第にこの「モルヒネ」を止めていくというかたちで考えるのが、政策としての一つの重要なスタンスではないかと思っている。
【問】
「モルヒネ」を急に止めると痛みが出るということだが、現時点で止めるタイミングが近づいているとお考えか。また、いろいろなところで話題になっている著書の中で、2年前に非伝統的金融政策の提案に賛同する立場に加わったことについて、やや自己批判めいたことをお書きになっているが、非伝統的金融政策をあの時点で提言したのは間違いであったとお考えになっているのか、そこの真意について伺いたい。
【答】
最初の質問について、現在がその時期に達しているかどうかということについてだが、日本銀行に来てまだ1日しか経っていないので、具体的な経緯、その他の情報を持っていない。従って、それについて明解にお答えすることは多分できないと思う。できるだけ早い段階で、政策委員会で私の意見を述べたいと考えている。
2番目の質問については、私はあの時点では、インフレ・ターゲットというようなものが出てきたということに関して、根拠に基づく政策(evidence based policy)という観点から、長期的にはその方向に賛成であるが、その時の状況における利害得失を考えた時に、あのような議論をすべきだったかどうかということについて、私個人としてはやはり躊躇を感じざるを得ない。もちろん、あれは他の皆さんとの共同作業で作ったものであり、私の意見は他の賛成された方とは同じではない。もともと、「小異を捨てて大同につく」というかたちで提言が作られている。私としては、今の段階で、あの時点でそういったことに関してはっきりしたスタンスを取るべきではなかったと思っているが、その時点ではそれが正しいと思っていた。その意味で、私は自己批判しなければいけないと思い、あの文章になったということである。
【問】
経済統計が専門とのことだが、現在の量的緩和政策は解除条件として消費者物価指数を採用している。このようなかたちで消費者物価指数にかなりリンクさせた政策運営のあり方について、どのようにお考えか。
【答】
これは非常に難しい問題だ。実は統計のあり方そのものが現在動いている。私は統計審議会や内閣府にいたので、このことについての理解は十分にあると思っているが、統計の中身そのものを実態にセンシティブになるように統計の作り方が少しずつ変わってきている。従って、いわば今は統計そのものも発展途上にあると考えている。同じようなことは日本銀行の調査統計局で作成している統計についても言えることである。逆に言えば、そういう動きつつあるものにコミットするようなかたちで政策を決めるということが、本当に望ましいのかということに関しては、若干の躊躇がある。しかし、当然のことだが、コミットメントというのは守らなくてはならない。従って、今後は消費者物価指数や企業物価指数などをいかに良くしていくか、そしてそうしたものが変化してきているということについて、いかにマーケットや世論、そしてマスコミの皆様方と対話し、理解して頂き、より良いターゲットを作っていくか、という考え方が必要ではないかと思っている。具体的なことに関しては非常にテクニカルになるので、ここでお話することは差し控えたい。
【問】
先程の出口の話だが、急に量的緩和を止めると痛みを生じさせるので、経済に痛みをわからせながら止めるのが重要なスタンスではないかというご指摘であったかと思う。日本銀行はビハインド・ザ・カーブとなるような路線をとっていると思うが、現在、量的緩和の目標である日銀当座預金残高の増減に、金融市場は関心を持っている。劇薬を急に止めると痛みを生じさせるということだが、委員としては正しいあるべき姿をどのように考えているのか。つまり、3条件で示された通り、消費者物価指数の前年比変化率のゼロ%以上が数か月続き、諸条件を考えても大丈夫だという時までは、現在の30~35兆円の目標を絶対死守すべきなのか。あるいは、たまに目標を割る日があっても総じて30兆円は割れていないという考え方の路線をとるべきなのか。それとも、所要準備額を大幅に上回る流動性を供給すれば量的緩和なのだから、例えば20~25兆円とかに目標を下げてもいいのか。この3つのうちどれを取るべきだと思うか。
次に、不動産価格に対する量的緩和の影響について、専門の立場からは影響があるとお考えか。不動産価格については、REITを中心に多少なりとも上昇がみられており、都市部はご覧の通りの状況になっているのだが、委員の見解を伺いたい。
【答】
まず最初の点は、金融のマイクロストラクチャーの機微に属するものであるが、私自身は現在十分な情報を持っているとは考えてないので、私の見解を述べるのは差し控えたい。これはやはり十分な情報を頂いてから、金融政策決定会合で私なりの判断をすべきことだと考えている。
不動産価格については、不動産価格と量的緩和もしくは金融政策の関係は、歴史的にみても非常に曖昧模糊(あいまいもこ)としたものである。従って、例えば量的緩和と不動産価格が正の相関があるからと言って、片方が片方を引き起こしているということは必ずしも言えない。ただし、非常に注意しなければならない一つの動きではある。将来的にはこうした動きが一般物価水準に何らかの影響を及ぼしていくということは十分考えられるので、当然注意して対処しなければならない問題だと考えている。
【問】
先程、金融政策の信用度を高めることが重要であるとおっしゃっていたが、過去に金融政策の信用が揺らいだということがあったと思われる部分があるのか。また、信用度を高めるにあたって具体的にどういうことをしていこうとお考えなのか伺いたい。
【答】
最初の質問については、1998年の新しい日本銀行法ができた頃は、信用度が高かったとはあまり思えない。その後、新日銀法の下で、様々な試行錯誤が続けられることによって、マーケットとの対話もなされ、そうした中で次第に信用度が高まってきているのではないかと、外からみて考えている。
信用度を高める上で何をしなくてはならないかということは、日本銀行でどのようなことが可能なのか、入ってみないとわからない。実際には入ってみたあとで、もう少し、実態を見極めながら対処していきたいと思っている。信用の問題──クレディビリティーの問題──であるが、この問題は非常に重要である。クレディビリティーを積み上げるには時間がかかるが、失うのは極めて早いということであるので、クレディビリティーに関してのどのような方策が必要かということは、内部に入っていろいろと検討しながら、私なりにできる努力をしていきたい。
【問】
消費者物価指数をはじめとする統計が発展途上にあるという点との関係で、デフレ脱却をどういう指標で測るのか。つまり現在、日本銀行は消費者物価指数に大きくコミットしているが、その消費者物価指数の精度を高めていくということなのか、あるいは別のものさしを検討する必要があるということなのかについて伺いたい。
【答】
消費者物価指数は非常に重要な指標である。世界的にもいろいろな指標があるが、基本的には消費者物価指数が最終的な金融政策のエビデンスというかそういうものになっているのは間違いない。
ただ、消費者物価指数の中身については、先程お伝えしたような、いくつかのこれから解決していかなければならないもの、それから過去との整合性といったものがあるので、これから日本銀行の中で考えていきたい。併せて、総務省統計局の消費者物価指数との関連という点についても考えていきたい。そうした中で、何らかの指標というものがでてくれば相応しいのではないかと思っている。今の段階で、どの指標が一番いいとは言えない状況である。
消費者物価指数の中にはいろいろな要素が入っているし、消費者物価指数の中の各コンポーネントと言うか、部分的な価格がどういう動きをするかということに関しても、これからある消費者物価指数の改訂といった問題も含めて、勘案しながら対処していかなければならないと考えている。
【問】
今の景気の現状についてどのような考えをお持ちか。今の景気の現状は、バブル崩壊後の景気回復局面で一番腰が強いとも言っている方もいるが、その点に関してどう考えているか。また今後、本格的な景気回復につながるとすれば、どこの動きを一番気にしていらっしゃるのか。
【答】
景気の見通しについて一言で申し上げると、英語で言えば "cautiously optimistic"、つまり慎重ながら楽観的である、というふうにお答えするのが一番良いのではないかと思っている。ご案内のように、1990年代の終わり頃から企業部門ではゆっくりとした調整が進んだ結果、企業収益が改善し不良債権が減った。最近の労働力調査を見れば、特徴的なのは、正規雇用が回復し始めたという点である。まだこれは短期の現象であり、今後再びどうなるかわからないという問題もあるが、少なくとも大きなサインであると思う。一言で言うと、1990年代の終わりから2000年の初期ぐらいまでは、いわば外需という「つっかえ棒」がないと立っていられなかった状況であったと思う。ところが、そうしたかたちで調整が進むことによって、外需という「つっかえ棒」がなくても十分立っていける状態になった。ただ、立っているだけであって、まだ走ってはいないし歩き出してもいない。歩き出すためにいくつかのことがなされなければならない。そのための一つが、新しいかたちの需要を作り出す政策である。ご案内のように、私は内閣府在籍時代に、一人の大学教授として、都市再生問題に関わったほか、今般成立した地域再生法のとりまとめにも参画したわけだが、そうしたかたちで今までにない新しい需要を作り出すことが必要になってくる。こうしたかたちができてくれば、日本経済は自分で歩き出し、そして走り出す、ということが可能になると思う。その中でやはり重要なのは、"value for money"という言葉があるが、特に政府の支出の効率性を高める、つまり少ない支出で多くの需要を創出できるような仕組みをどんどん作っていかなければならないと思っている。そうしたことを政府の当局者の方にもお願いしたいと思っている。
【問】
内閣府にもおられたということなので伺いたい。政府と日本銀行の関係について、例えば昨年の経済財政諮問会議では、名目2パーセント成長という政府・与党の公約へのコミットのようなことで議論もあったが、政府と日本銀行の関係のあり方について感じるところがあればお聞かせ頂きたい。
【答】
日本銀行の独立性というのは極めて重要な意味を持っていると思う。独立性があるからこそアカウンタビリティが要求され、その中で様々な政策に関する議論がなされると考えている。しかし同時に、政府との対話を断って孤高の状態で政策をすべきであるということではないと考えている。あくまでも独立性を守り、政府・国会と密接な関係を保ちながら、金融政策がなされるのが一番望ましい姿であると考えている。
【問】
3点お伺いしたい。1点目は、インフレ・ターゲッティングないし物価目標の導入については現時点ではどのようなスタンスなのか。
2点目は、先程、「消費者物価指数のコミットメントに若干躊躇している」と答えられたが、それは今のかたちでの消費者物価指数に対して少し不安があるという意味なのか、消費者物価指数にコミットすること自体が躊躇されるのか。
3点目は、これから景気が踊り場を脱して回復していく上で、政府支出の効率を高めることが重要だとの話であったが、金融政策のほうが効率を高めることが重要になっているのか、あるいは財政政策のほうなのか、あるいは適当なポリシーミックスが必要なのか伺いたい。
【答】
何度も申し上げている通り一般論で申し上げると、インフレ・ターゲットというのは、いわゆる根拠に基づく政策(evidence based policy)ということから考えて、金融政策の説明責任を明確にして金融政策の信用を高めるという点で非常に重要な政策手段の一つであると考えている。特に、インフレが進行している場合にその効果は非常に大きなものがあると考えている。
ただし、日本の現状に当てはめた時に、その効果の得失をやはり考えなければならない。ゼロ金利政策や量的緩和政策の経験から見て、金融政策に十分な対応余地があるのかということを考えなければならない。特に、その目的が政策の信用を高めるということであるから、この点に関してはかなり慎重な対応が必要であると考えている。先程申し上げた、発展途上である統計との関係の問題も考えなければならない。
消費者物価指数へのコミットメントの件については、政策決定の機微に属することであるし、日本銀行が大体どういうかたちでこういうことを考えているのかということを私もあまりよく知らないので、今後、内部でいろいろと教えて頂いて、その中で私が知っていることをお伝えしながら考えていきたい。
踊り場を脱していく上での政策のあり方に関してであるが、金融政策はかなり目一杯のことをやっているし、財政政策もかなり目一杯のことをやっている。問題は目一杯のことをやっているやり方を、両方とも効率的にやっていかないと、なかなかうまくいかないのではないかということである。効率的というのは、例えば金融政策──これは景気回復をもたらすものではなく景気を後押しするものであると思っている──が、どのような力を持っているのか、その力をどのように使うのがもっとも効率的なのかということを考えなければならない。財政政策のほうも、公共投資の支出の仕方ということを含めて、いかに効率的な支出をすることによって新しい需要を生み出すことができるか、ということを考えなければならないと思っている。
重要な点は、政府の支出があれば需要が出てくるという時代は終わってしまったわけで、政府の支出の「質」というのが重要となってくるということである。同様に、金融政策のほうも「質」が重要になってくる。今までの量的緩和政策では「量」がキーワードであった。政府の支出に関しても「量」がどちらかというとキーワードであった。これからは「質」、つまり政策がどのような質を持っているのかを考えていかなければならない時期に達したのではないかと考えている。
【問】
家族構成と趣味をお伺いしたい。
【答】
家内と二人の娘がいる。趣味について、私はそういうご質問には「無趣味」と答えることにしている。
【問】
写真とかお好きなのではないか。
【答】
私のホームページを見ればわかって頂けるものと思う。大学のほうのホームページにはたくさんギャラリーがある。なお、ホームページはもう更新しない。ギャラリーは更新するかもしれないが。
【問】
インフレ目標に関するお答えの趣旨を確認したい。すなわち、金融政策の説明責任上重要な手段であり、高インフレの時には効果があるかもしれないが、日本経済の現状およびこれまでの量的緩和政策の経験を省みれば、これを日本銀行が採用することについてはかなり慎重であるべきだという趣旨で良いのか。
【答】
利害得失を考えないといけないということである。従って、今後、もちろん利害得失が変われば、当然のことながら考えなければならないということになる。しかし、現状は、利害得失を考えると、非常に積極的になるというところまでは私は踏み出すことはできないということである。
以上