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総裁記者会見要旨(11月19日)

G20終了後の尾身財務大臣・福井総裁内外記者会見における総裁発言要旨

2006年11月20日
日本銀行

―於・オーストラリア・メルボルン
2006年 11月19日(日)
午後2時5分から約30分(現地時間)

【冒頭発言】

 G20は今回で第8回目であったわけですが、議論の中身が一層豊かになり、かつ一体感をもって議論されるようになってきた、というのが私の率直な印象です。米国経済のスローダウンにもかかわらず、世界経済全体としては順調な拡大を続けていることが明確に確認され、この傾向は今後も続く可能性が強いということも確認されました。同時に、リスク要因についても、例えば、潜在的なインフレリスク、金融市場の安定性が損なわれるリスクがないかどうかといった観点、あるいは保護主義台頭のリスク、このような点について参加国が共通の認識をより明確に持つことができたという点が重要であったと思います。
 それに加えて、今回は、例えば石油や鉱物資源といった資源制約の問題、人口動態の変化がグローバル経済に及ぼす影響、といった幅広いテーマについても議論が行われました。資源制約の問題については、先進国とエマージング諸国あるいはエネルギーの供給国、消費国といったように、それぞれの自分の立場を中心に議論するというよりは、グローバル経済全体に対するインプリケーションという共通の軸を踏まえて、しっかりとした議論が行われたという点が非常に良かったと思います。人口動態の変化についても、先進国、エマージング諸国、あるいはそれぞれのカテゴリーの中でも国によってその度合いが違うわけですが、時間の経過とともにいずれ共通する大きな問題だといった観点から、長い将来に亙るグローバル経済の健全な運営ということを軸にして議論されました。非常に有意義な会議であったと思っています。

(以下質疑)

【問】

 コミュニケには、潜在的なインフレ圧力に対抗するために金融政策の正常化を継続するとありますが、これを受けて、今の日本の現状と今後の見通しについてどのようにお考えですか。

【答】

 私からも、日本経済について会議の席で簡単に報告しました。今は、物価安定の下で緩やかながら着実な経済の拡大が続いており、この傾向を今後ともしっかり続けていけるような金融面からのサポートを施していきたい、そのような金融政策を行っていきたいと述べたわけです。この傾向が順調に続くならば、日本銀行としては、先々の様々なリスク要因を十分念頭に置きながら、緩やかに金利水準の調整を図っていくという方向にあると報告しました。

【問】

 金融政策についての今回のコミュニケの文言は、現状、米国、欧州に比べ日本の金利が低い中で、日本を意識したものであるのかどうか。また、日本の潜在的なインフレ圧力について、どのようにお考えかお聞かせください。

【答】

 コミュニケは、どこか特定の国を意識して書かれているということはないと思います。世界経済全体をみて書いているということだと思います。日本経済については、物価は非常に安定した状況にあります。経済が息の長い成長を続けていけば、物価の基調は徐々に強まってくると思いますが、インフレのリスクが非常に近い将来みえているという状況ではありません。

以上