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総裁記者会見要旨(2月10日)

——G7終了後の尾身大臣・福井総裁内外記者会見における総裁発言要旨——

2007年2月11日
日本銀行

――於・ドイツ・エッセン
2007年2月10日(土)
午後3時30分から約25分(現地時間)

【冒頭発言】

今回のG7も、いつものとおり世界経済の現状や先行きについて、率直な意見交換ができて非常に良かったと思っています。世界経済については、引き続き堅調な拡大を続けているという認識が共有されたと思いますし、日本経済については、ただ今大臣からもお話のございました通り、日本の景気は緩やかに拡大しており、持続的成長の軌道に乗っている。先行きについても生産・所得・支出の好循環のメカニズムが維持されるもとで、緩やかな拡大を続けていく可能性が高いという話をしました。そして、今後とも出てくる様々な指標やデータを点検・分析し、将来の経済・物価の姿を抽出しながら、今申し上げたようなシナリオの蓋然性を引き続き確認していきたいという説明を申し上げまして、理解を得たところでございます。

(以下質疑)

【問】

コミュニケの最初のパラグラフの最後のセンテンスにある「市場参加者が評価すべきリスク」とは何を意味しているのでしょうか。

【尾身大臣・答】

これは一方的に偏って行動することのリスクを認識することが望ましいということです。

【問】

為替レートのことでしょうか。

【尾身大臣・答】

マーケットの構造についての話です。

【問】

例えば円キャリー・トレードも意味しているのでしょうか。

【答】

様々な市場におけるリスクの偏ったとり方というように理解していただきたいと思います。為替市場も含まれているということであります。

【問】

1月の金融政策決定会合で金利引き上げを見送ったことについて、福井総裁は会議で何らかの説明をされたのでしょうか。

【答】

日本経済については好循環のメカニズムが作動しているが、このところ強弱様々な指標が出ている。従って、1月の金融政策決定会合では金融市場調節方針を現状維持ということにし、今後の経済・物価情勢をさらに見極めていくということになった、ということを簡単に報告致しました。格別の質問はありませんでした。

【問】

昨日のぶら下がり会見で、G7で説明したいという内容について、日本経済について世界経済の安定的な成長により良く貢献できるような方法を強く意識しながら金融政策運営をしたいとおっしゃいました。これは具体的にはどのような金融政策運営を指すのか、どういう方向性を念頭においておっしゃったのかということをお聞きします。G7の議論が2月の金融政策決定会合に影響するのかという質問に対して、密接に関連してくるというふうにもおっしゃいました。G7の議論自体が2月あるいは2月以降の金融政策決定会合にどのような影響を及ぼすのかというのが質問の趣旨です。

【答】

昨日のぶら下がり会見のときに、私はG7の会合が2月の金融政策決定会合の帰趨に直接影響するというお話は一切致しておりません。もしそう受けとられたとしたら、そのような受けとり方はなさらないで下さいと申し上げざるを得ないと思います。

それから、今日のコミュニケにも出ておりますが、日本経済に限らず世界中の国の経済がグローバル・エコノミーの中に有機的な統合という形で、一体感を持って運営されるようになってきているということであります。従いまして、日本経済についても物価安定のもとでの持続的成長、本来の日本経済の目標通り、これを達成していくことが世界経済の安定的な発展にも寄与する。こういう枠組みの中で私は話をしております。それ以上さらに付け加えた意味合いは一切ございません。従来から、日本における度重なる記者会見のときでも、常に物価安定のもとでの経済の持続的成長、ここに的を絞ってお話申し上げてきておりますが、そのことを言ったに過ぎないわけであります。

【問】

昨日のぶら下がり会見で、経済の蓋然性について2月の金融政策決定会合で一層詰めた議論をしていきたいという発言をしておられまして、現段階で、1月の決定会合で政策委員間の評価が分かれたわけですが、2月の決定会合でそれが収斂されるかどうか、その差が縮まるかどうか、この辺の状況についてお話をお聞かせ願いたいと思います。

【答】

合議制本来の性格を良く理解して頂きたいと思います。そこであらゆるデータを全て新しく点検し、きちんと議論をして結論を出すので、その合議制の議論の結果として出てくる結論を、前もって私が読むということ自体弊害があるわけです。そういう読みをしないで、丹念に冷静に議論し、分析し、討論し結論を出していく。この創造的なプロセスをそういう事前の憶測で乱したくないと、これは私の強い気持ちです。

以上