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第77回信託大会における日本銀行総裁挨拶
2002年 4月16日
日本銀行
本日は、第77回信託大会にお招き頂きまして、誠にありがとうございます。また、信託銀行の皆様におかれましては、平素より、日本銀行の政策や業務の運営に多大なるご協力を頂いております。本席をお借りして、あつくお礼を申し上げます。
本席で皆様とお会いするのは、ほぼ1年振りのことになります。この間日本銀行は、厳しい経済情勢のもと、内外の中央銀行の歴史に例のない思いきった金融緩和を進めてきました。
このような政策は、金融市場の安定を確保し、景気の底割れを防止する上で、大きな役割を果たしてきたと思います。また、最近では、輸出や生産などの面で、経済に前向きの動きもみられるようになっています。しかし、日本経済が様々な構造問題を抱えるもとで、企業や家計の経済活動が十分に活発化するには至っていません。
日本銀行は今後とも、景気の回復とデフレ脱却に向けて、潤沢な資金供給を通じた市場の安定と緩和効果の浸透に、全力を挙げていく方針です。
同時に、日本経済の持続的な成長軌道への復帰とデフレ脱却を実現するためには、構造改革を通じて民間需要を活性化させていくことが、必要不可欠です。今後とも、各方面における構造改革への取り組みが着実に進められることを、強く期待しています。
次に、金融システム問題について一言申し上げます。
先日、発表された特別検査の結果にも表れている通り、各行におかれては、不良債権処理を一段と進められました。まず、この点に関してのご努力に敬意を表したいと思います。
ただ、現下の不良債権問題を最終的に克服していくためには、なお一層の努力が必要です。当面の景気の状況や構造改革の進展を踏まえますと、今後も新規不良債権の発生や既存の不良債権の更なる劣化が続く可能性があると言わざるを得ません。
各行におかれては、今回の検査結果も踏まえつつ、特別検査の対象企業はもとより、それ以外の企業についても、その経営・財務状況を入念にチェックしていく必要があると思います。また、そうしたチェックを踏まえて不良債権を適切かつ迅速に処理し、資産内容を改善するなど収益力強化に向けて自助努力を傾けて頂くことがどうしても必要です。
こうした努力の結果、わが国金融システムへの信認が早期に回復することを強く期待しております。
日本銀行といたしましても、今後とも、考査等の機会を通じて、不良債権処理の状況や財務内容についても、十分目を配って参りたいと考えております。ご協力方よろしくお願いいたします。
最後になりましたが、信託各行が、その機能と特性を十分に発揮され、ますます発展されるとともに、我が国金融システムの効率性と安定性向上に貢献されるよう、強く祈念しております。また、日本銀行としても、必要なサポートを惜しまないことを申し上げて、私の挨拶といたします。
ご清聴有難うございました。
以上